兵庫県立 人と自然の博物館

兵庫県立 人と自然の博物館

「ひとはく」は、お勉強のため学校の団体で行く所、なんだか難しそうなことを研究している所、恐竜の化石の所、まあとにかく化石に興味のない私にとってはあまり縁のない所、という認識で過ごしてきた。
以前化石の講座に参加した連れ合いが、今日はお出かけ日和だから、裏山の石ころを持って行って、専門家に見てもらおうと言う。


裏山には、山の中にはありえないと思う丸い石が転がっていて、不思議に思いつつ、きれいそうなのを拾って玄関脇に並べている。
受付で持参した石を見て頂きたいと言ったら、専門の先生は常駐ではないが、今日はたまたま偏光顕微鏡で石を見るオープンセミナーが13時からあるので行って見てという事だった。
頃合の時間に行くと、セミナーの先生は忙しそうで、スタッフが別の先生を呼んでくれた。


やがて、湯のみ茶碗とルーペを手に先生がやってきて、私たちの疑問と採取場所を話すと、「地図を持ってきます」と立っていかれた。
「茶を飲みながらじっくりと話してくれる気か。」「でも、湯のみは空だし」と、ひそひそ話していると、地層群の地図を持ってこられた。
湯のみには、近くの水道から水を入れてこられた。
指先にちょいとつけたその水で石を濡らしルーペで見る、を繰り返し、20個ほどの石を2グループに分けられた。
放散虫という、海底に住む虫の化石が入った物と入っていないものは、違う地層にあるとのこと。3億年前〜数千万年前の間に、地表が隆起、堆積、等々を繰り返している間に川になった時もあり、石も削られて丸くなり、また地表の変化を繰り返し……今、丸い石が山にある。
全くなんの知識もない私にもよく分かるように教えて下さった。
そのうち、テーブルの周りに人垣もできて、熱心に話を聞いた。

長年の疑問も解け、悠久のときが詰まった小さな石ころを手にとり、不思議な気分になってしみじみと眺めた。
古谷先生、長時間丁寧に教えて頂き、ありがとうございました。
「ひとはく」ファンになりそうです。