やぶつばき(藪椿)早春の里山を彩る

落花

ツバキ科ツバキ属
ツバキはサクラとともに日本を代表する花木で、万葉の時代から日本人に親しまれてきた。
18世紀初頭にヨーロッパに渡り、品種改良も進んで世界の人々から愛されている。
ヤブツバキは日本原産で、西日本では至るところに分布している。
北日本では海岸沿いにとびとびに自生が見られ、北限は青森県である。

・開花直前の花を採取して日干しにしたものを山茶(さんちゃ)とよぶ。滋養強壮・健胃・整腸などの薬効がある。
生の葉には止血の効果があるので、擦り傷・切り傷などにはつぶして患部に塗るとよい。



山道を足元を見ながら登って行く。
ヤブ椿の花が枯れ葉の積み重なった道にふんわりと落ちている。
立ち止まって見上げると、3〜4メートルほどの上の方に緑の葉がこんもりと茂り赤い花が見える。
椿の樹の根元辺りには、葉の落ちたツツジなどの落葉樹やアオキなどの常緑の潅木が生えているせいか、下の方には枝がない。
ヤブ椿の樹があるのに気づくのは、いつもふんわりと落ちている花のお陰。


我が家の庭のヤブ椿は、まだ蕾が小さくて硬い。
家を建てた翌年、実家から庭木をあれこれ運んできて植え込んでくれた中に、ヤブ椿もあった。
花の好きな母が、「この樹は、赤がとりわけいい色だから。」と言ったとおり深みのある赤い花をつけた。
あまり年数がたたないある年、いっぱいの花を咲かせ、実をいっぱいつけて枯れてしまった。
この地の寒さになじめなかったのではと思う。
たくさん生えた子供のうちの2本が、今、庇の高さになり花を咲かせる。
親とは花の形が少し違うが、色は同じ。
椿を屋敷うちに植えるのは縁起がよくないなどという人もあるけれど、「好きなものを植えて愛でればよい。」というのが母の言い分だ。


それにしても、「山懐」というのは暖かいのだろう。
山の花を見上げながらそう思う。